社会保険労務士法人 人材ビジネスコンサルティング2023年7月24日就業規律・労働条件について定める「就業規則」とは? 労働者が就業する際の規律や労働条件の具体的細目を定めた規則類の総称 労働者が安心して働ける明るい職場を作ることは、事業規模や業種を問わず、すべての事業場にとって重要なことです。そのためには、あらかじめ就業規則で労働時間や賃金をはじめ、人事・服務規律など、労働者の労働条件や待遇の基準をはっきりと定め、労使間でトラブルが生じないようにしておくことが大切です。 就業規則とは労働者が就業する際に守るべき規律や労働条件について、具体的細目を定めた規則類の総称をいいます。常時10人以上の従業員を使用する使用者は、労働基準法第89条の規定により、就業規則を作成または変更した場合は、所轄の労働基準監督署長に届け出なければならないとされています。ここでは、会社の規律及び労働条件を定める就業規則について説明します。 絶対的必要記載事項・相対的必要記載事項とは? 就業規則に記載する事項には、必ず記載しなければならない事項と、各事業場内でルールを定める場合には記載しなければならない事項があります。必ず記載しなければならない事項を「絶対的必要記載事項」、ルールを定める場合に記載しなければならない事項を「相対的必要記載事項」といい、それぞれの内容は以下の通りです。〈絶対的必要記載事項〉(1)労働時間関係始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を2組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項(2)賃金関係賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項(3)退職関係退職に関する事項(解雇の事由を含みます。)〈相対的必要記載事項〉(1)退職手当関係適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項(2)臨時の賃金・最低賃金額関係臨時の賃金等(退職手当を除きます。)及び最低賃金額に関する事項(3)費用負担関係労働者に食費、作業用品その他の負担をさせることに関する事項(4)安全衛生関係安全及び衛生に関する事項(5)職業訓練関係職業訓練に関する事項(6)災害補償・業務外の傷病扶助関係災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項(7)表彰・制裁関係表彰及び制裁の種類及び程度に関する事項(8)その他事業場の労働者すべてに適用されるルールに関する事項なお、労働基準法第90条にて、就業規則の作成にあたっては労働組合または労働者の過半数を代表する人の「意見を聴かなければならない」と定めており、労働基準監督署への届出の際は「意見書」を添付する必要があります。この場合の労働者の過半数を代表する者は、①労基法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位にある者でないこと、②就業規則の作成及び変更の際に、使用者から意見を聴取される者を選出することを明らかにして実施する投票、挙手等の方法によって選出された者であることのいずれにも該当する者でなければなりません。なお、ここでいう「意見を聴く」とは、同意を得る、協議をするということまでは求められていません。反対意見があったとしても、就業規則の効力に影響はありません。 就業規則の周知 作成した就業規則は、以下の添付書類を添えて管轄する労働基準監督署へ届出する必要があります。①就業規則制定届(変更の場合は、就業規則変更届)②意見書なお、届出した就業規則は労働者の一人ひとりへの配付、労働者がいつでも見られるように職場の見やすい場所への掲示、備付け、あるいは電子媒体に記録し、それを常時モニター画面等で確認できるようにするといった方法により、労働者に周知しなければなりません(労基法第106条第1項)。就業規則は、作成したり、労働者の代表者から意見を聴取しただけでは効力は発生しないと解されており、就業規則の効力発生時期は、就業規則が何らかの方法によって労働者に周知された時期以降で、就業規則に施行期日が定められているときはその日、就業規則に施行期日が定められていないときは、通常は労働者に周知された日と解されています。 さいごに 労働者の就業に関する規律や労働条件を定める就業規則。労使間でトラブルが起こったときにまず確認すべきは、就業規則です。使用者が就業規則に則った対応をしているのか、また労働者は就業規則で定めた規律を遵守しているのかといったところが論点となります。しっかりと就業規則を明示のうえ、労使間で働きやすい職場作りに取り組みましょう。 以上、今回は「就業規則」について説明しました。
労働者が就業する際の規律や労働条件の具体的細目を定めた規則類の総称 労働者が安心して働ける明るい職場を作ることは、事業規模や業種を問わず、すべての事業場にとって重要なことです。そのためには、あらかじめ就業規則で労働時間や賃金をはじめ、人事・服務規律など、労働者の労働条件や待遇の基準をはっきりと定め、労使間でトラブルが生じないようにしておくことが大切です。 就業規則とは労働者が就業する際に守るべき規律や労働条件について、具体的細目を定めた規則類の総称をいいます。常時10人以上の従業員を使用する使用者は、労働基準法第89条の規定により、就業規則を作成または変更した場合は、所轄の労働基準監督署長に届け出なければならないとされています。ここでは、会社の規律及び労働条件を定める就業規則について説明します。 絶対的必要記載事項・相対的必要記載事項とは? 就業規則に記載する事項には、必ず記載しなければならない事項と、各事業場内でルールを定める場合には記載しなければならない事項があります。必ず記載しなければならない事項を「絶対的必要記載事項」、ルールを定める場合に記載しなければならない事項を「相対的必要記載事項」といい、それぞれの内容は以下の通りです。〈絶対的必要記載事項〉(1)労働時間関係始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を2組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項(2)賃金関係賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項(3)退職関係退職に関する事項(解雇の事由を含みます。)〈相対的必要記載事項〉(1)退職手当関係適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項(2)臨時の賃金・最低賃金額関係臨時の賃金等(退職手当を除きます。)及び最低賃金額に関する事項(3)費用負担関係労働者に食費、作業用品その他の負担をさせることに関する事項(4)安全衛生関係安全及び衛生に関する事項(5)職業訓練関係職業訓練に関する事項(6)災害補償・業務外の傷病扶助関係災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項(7)表彰・制裁関係表彰及び制裁の種類及び程度に関する事項(8)その他事業場の労働者すべてに適用されるルールに関する事項なお、労働基準法第90条にて、就業規則の作成にあたっては労働組合または労働者の過半数を代表する人の「意見を聴かなければならない」と定めており、労働基準監督署への届出の際は「意見書」を添付する必要があります。この場合の労働者の過半数を代表する者は、①労基法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位にある者でないこと、②就業規則の作成及び変更の際に、使用者から意見を聴取される者を選出することを明らかにして実施する投票、挙手等の方法によって選出された者であることのいずれにも該当する者でなければなりません。なお、ここでいう「意見を聴く」とは、同意を得る、協議をするということまでは求められていません。反対意見があったとしても、就業規則の効力に影響はありません。 就業規則の周知 作成した就業規則は、以下の添付書類を添えて管轄する労働基準監督署へ届出する必要があります。①就業規則制定届(変更の場合は、就業規則変更届)②意見書なお、届出した就業規則は労働者の一人ひとりへの配付、労働者がいつでも見られるように職場の見やすい場所への掲示、備付け、あるいは電子媒体に記録し、それを常時モニター画面等で確認できるようにするといった方法により、労働者に周知しなければなりません(労基法第106条第1項)。就業規則は、作成したり、労働者の代表者から意見を聴取しただけでは効力は発生しないと解されており、就業規則の効力発生時期は、就業規則が何らかの方法によって労働者に周知された時期以降で、就業規則に施行期日が定められているときはその日、就業規則に施行期日が定められていないときは、通常は労働者に周知された日と解されています。 さいごに 労働者の就業に関する規律や労働条件を定める就業規則。労使間でトラブルが起こったときにまず確認すべきは、就業規則です。使用者が就業規則に則った対応をしているのか、また労働者は就業規則で定めた規律を遵守しているのかといったところが論点となります。しっかりと就業規則を明示のうえ、労使間で働きやすい職場作りに取り組みましょう。 以上、今回は「就業規則」について説明しました。
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