社会保険労務士法人 人材ビジネスコンサルティング2022年9月16日平均賃金とは?解雇予告手当や休業手当の計算方法についてご説明します! 平均賃金とは何か? ここでは、まず給与計算担当の方であれば何度も耳にする「平均賃金」についてご説明します。平均賃金とは、その名のとおり実際に支給された賃金の平均額をいいます。なぜ、平均賃金を算出する必要があるのか、どういったときに平均賃金を算出するのかといった疑問があるかと思いますので、ご説明いたします。まず、平均賃金とは以下の金額を算定するときの尺度として用いられます。①労働者を解雇する場合の予告に代わる手当(解雇予告手当)②使用者の責に帰すべき休業の場合に支払われる休業手当③年次有給休暇の日について支払われる賃金④労働者が業務上負傷し若しくは疾病にかかり、又は死亡した場合の休業補償・障害補償・遺族補償・葬祭料・打切補償および分割補償⑤減給の制裁の制限額これらの手当や補償に関する規定の趣旨は、いずれも労働者の生活を保障しようとするものですので、労働者の生活賃金をありのままに算定するということが基本原理となっており、そのため平均賃金を算出する必要があります。このような考え方に基づき、平均賃金は原則として、「算定事由の発生日以前3ヶ月間における賃金の総額をその期間の総日数で除して算定する」とされています。なお、上記の計算方法を用いたとしても、たとえば休業したため賃金の総額が極端に少なくなった場合や賞与などが支給されたため賃金の総額が異常に多くなった場合には、通常の生活賃金からかけ離れたものとなるので、このような場合については、それぞれ特別の考慮が払われています。以下で詳しくみていきましょう。 算定事由の発生日とは 平均賃金を算定すべき事由の発生した日とは、以下の日をいいます。①解雇予告手当の場合は、「労働者に解雇の通告をした日」②休業手当の場合は、「休業した日」。なお、休業が2日以上にわたる場合は、「最初に休業した日」③年次有給休暇の場合は、「年次有給休暇を与えた日」。なお、年次有給休暇が2日以上にわたる場合は、「最初に年次有給休暇を与えた日」④休業補償、障害補償、遺族補償、葬祭料、打切補償または分割補償の場合は、「事故が発生した日、または診断によって疾病の発生が確定した日」⑤減給の制裁の場合は、「制裁の意思表示が相手方に到達した日」 発生日以前3ヶ月間とは 「平均賃金を算定すべき事由の発生した日以前3か月間」とは、算定事由の発生した日は含まず、その前日からさかのぼって3ヶ月をさします。また、賃金締切日がある場合は、直前の賃金締切日からさかのぼって3ヶ月となります。 なお、次の期間がある場合は、その日数および賃金額は算定期間と賃金総額から除外されます。①業務上負傷し、または疾病にかかり療養のために休業した期間②産前産後の休業した期間③使用者の責に帰すべき事由によって休業した期間④育児・介護休業期間⑤試用期間 賃金の総額とは 賃金の総額には、算定期間中に支払われる労働基準法第11条に規定する賃金のすべてが含まれます。たとえば、通勤手当、年次有給休暇の賃金、通勤定期券代や昼食料補助などは賃金の総額に含めなければなりません。また、現実に支払われた賃金だけではなく、賃金の支払いが遅れているような場合は、未払い賃金も含めて計算します。 なお、次の賃金については賃金の総額から控除されます。①臨時に支払われた賃金(結婚手当、私傷病手当、退職金など)②3ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など。ただし賞与であっても、3ヶ月ごとに支払われる場合は算入されます)③特別に法令や労働協約で定められていない現物給与 平均賃金の最低保障 日給制、時間給制、出来高払い制、請負制の場合、平均賃金が低額となる場合を考慮して次の算出による「最低保障」が定められています。最低保障額=(賃金の総額÷実労働日数)×100分の60なお、月給制や日給月給制の場合は最低保障は適用されません。 雇入れ後3ヶ月に満たない場合 算定事由の発生した日以前に3ヶ月の期間がない場合は、雇入れ後の期間と賃金で算定します。また、この場合でも賃金締切日がある場合は、直前の賃金締切日から起算します。なお、日々雇入れられる者の場合は、稼働日に差があり異なる就業場所もあるため賃金額が変動することが多く、一般常用労働者の平均賃金と同様に取り扱うことは適当ではないため、厚生労働大臣が別に定める金額を平均賃金とします。平均賃金=(1ヶ月間に支払われた賃金総額÷1ヶ月間の総労働日数)×(73分の100) 平均賃金を計算してみましょう(例 1)月給制の常用労働者の平均賃金月給制、賃金締切日毎月15日の場合休業手当の支払いについて、たとえば使用者の責任による休業が20日間あった場合8,021.73円×60%×20日=96,260.76円(円未満の端数は四捨五入)労働者に96,261円を支払います。(例 2)平均賃金の最低保障日給制、賃金締切日15日の場合基本的な計算方法による平均賃金288,000円÷92日=3,130.43円最低保障の平均賃金288,000円÷36日×60/100=4,800円最低保障の方が高額なため、4,800円が平均賃金となります。(例 3)日雇労働者の平均賃金算定期間 5/16~6/15労働日数 15日賃金総額 112,500円平均賃金 112,500円÷15日×73/100=5,475円労働者に5,475円を支払います。以上、平均賃金と計算方法についてご説明しました。給与計算の場面でも日常的に発生する平均賃金、ここでしっかりと確認しておきましょう。
平均賃金とは何か? ここでは、まず給与計算担当の方であれば何度も耳にする「平均賃金」についてご説明します。平均賃金とは、その名のとおり実際に支給された賃金の平均額をいいます。なぜ、平均賃金を算出する必要があるのか、どういったときに平均賃金を算出するのかといった疑問があるかと思いますので、ご説明いたします。まず、平均賃金とは以下の金額を算定するときの尺度として用いられます。①労働者を解雇する場合の予告に代わる手当(解雇予告手当)②使用者の責に帰すべき休業の場合に支払われる休業手当③年次有給休暇の日について支払われる賃金④労働者が業務上負傷し若しくは疾病にかかり、又は死亡した場合の休業補償・障害補償・遺族補償・葬祭料・打切補償および分割補償⑤減給の制裁の制限額これらの手当や補償に関する規定の趣旨は、いずれも労働者の生活を保障しようとするものですので、労働者の生活賃金をありのままに算定するということが基本原理となっており、そのため平均賃金を算出する必要があります。このような考え方に基づき、平均賃金は原則として、「算定事由の発生日以前3ヶ月間における賃金の総額をその期間の総日数で除して算定する」とされています。なお、上記の計算方法を用いたとしても、たとえば休業したため賃金の総額が極端に少なくなった場合や賞与などが支給されたため賃金の総額が異常に多くなった場合には、通常の生活賃金からかけ離れたものとなるので、このような場合については、それぞれ特別の考慮が払われています。以下で詳しくみていきましょう。 算定事由の発生日とは 平均賃金を算定すべき事由の発生した日とは、以下の日をいいます。①解雇予告手当の場合は、「労働者に解雇の通告をした日」②休業手当の場合は、「休業した日」。なお、休業が2日以上にわたる場合は、「最初に休業した日」③年次有給休暇の場合は、「年次有給休暇を与えた日」。なお、年次有給休暇が2日以上にわたる場合は、「最初に年次有給休暇を与えた日」④休業補償、障害補償、遺族補償、葬祭料、打切補償または分割補償の場合は、「事故が発生した日、または診断によって疾病の発生が確定した日」⑤減給の制裁の場合は、「制裁の意思表示が相手方に到達した日」 発生日以前3ヶ月間とは 「平均賃金を算定すべき事由の発生した日以前3か月間」とは、算定事由の発生した日は含まず、その前日からさかのぼって3ヶ月をさします。また、賃金締切日がある場合は、直前の賃金締切日からさかのぼって3ヶ月となります。 なお、次の期間がある場合は、その日数および賃金額は算定期間と賃金総額から除外されます。①業務上負傷し、または疾病にかかり療養のために休業した期間②産前産後の休業した期間③使用者の責に帰すべき事由によって休業した期間④育児・介護休業期間⑤試用期間 賃金の総額とは 賃金の総額には、算定期間中に支払われる労働基準法第11条に規定する賃金のすべてが含まれます。たとえば、通勤手当、年次有給休暇の賃金、通勤定期券代や昼食料補助などは賃金の総額に含めなければなりません。また、現実に支払われた賃金だけではなく、賃金の支払いが遅れているような場合は、未払い賃金も含めて計算します。 なお、次の賃金については賃金の総額から控除されます。①臨時に支払われた賃金(結婚手当、私傷病手当、退職金など)②3ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など。ただし賞与であっても、3ヶ月ごとに支払われる場合は算入されます)③特別に法令や労働協約で定められていない現物給与 平均賃金の最低保障 日給制、時間給制、出来高払い制、請負制の場合、平均賃金が低額となる場合を考慮して次の算出による「最低保障」が定められています。最低保障額=(賃金の総額÷実労働日数)×100分の60なお、月給制や日給月給制の場合は最低保障は適用されません。 雇入れ後3ヶ月に満たない場合 算定事由の発生した日以前に3ヶ月の期間がない場合は、雇入れ後の期間と賃金で算定します。また、この場合でも賃金締切日がある場合は、直前の賃金締切日から起算します。なお、日々雇入れられる者の場合は、稼働日に差があり異なる就業場所もあるため賃金額が変動することが多く、一般常用労働者の平均賃金と同様に取り扱うことは適当ではないため、厚生労働大臣が別に定める金額を平均賃金とします。平均賃金=(1ヶ月間に支払われた賃金総額÷1ヶ月間の総労働日数)×(73分の100) 平均賃金を計算してみましょう(例 1)月給制の常用労働者の平均賃金月給制、賃金締切日毎月15日の場合休業手当の支払いについて、たとえば使用者の責任による休業が20日間あった場合8,021.73円×60%×20日=96,260.76円(円未満の端数は四捨五入)労働者に96,261円を支払います。(例 2)平均賃金の最低保障日給制、賃金締切日15日の場合基本的な計算方法による平均賃金288,000円÷92日=3,130.43円最低保障の平均賃金288,000円÷36日×60/100=4,800円最低保障の方が高額なため、4,800円が平均賃金となります。(例 3)日雇労働者の平均賃金算定期間 5/16~6/15労働日数 15日賃金総額 112,500円平均賃金 112,500円÷15日×73/100=5,475円労働者に5,475円を支払います。以上、平均賃金と計算方法についてご説明しました。給与計算の場面でも日常的に発生する平均賃金、ここでしっかりと確認しておきましょう。
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