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〈求職者給付編〉失業時の生活の安定を図る!失業等給付について②


失業等給付とは


 今回は、雇用保険の中で最も受給することのある失業等給付がテーマです。
失業等給付は、失業した場合や育児または介護などのために休業をしなければならなくなった労働者の生活の安定を図るための給付です。

 失業等給付には、「求職者給付」、「就職促進給付」、「教育訓練給付」、「雇用継続給付」の4種類に分かれており、求職者給付は、雇用保険の被保険者が離職して失業状態となっている場合に、生活の安定や求職活動を容易にすることを目的として支給する給付です。
 
 次に就職促進給付は、失業者が再就職する際に支給するための給付、また教育訓練給付は、たとえば資格を取得するために学校に入学する際の教育費用を補助等をするための給付、最後に雇用継続給付は、育児や介護のため休業しなければならない被保険者に対する所得の補填として支給するための給付となっています。

 今回は、求職者給付のうち「技能習得手当」、「寄宿手当」、「傷病手当」、「高年齢求職者給付金」、「特例一時金」、「日雇労働求職者給付金」についてご説明します。

失業等給付についての説明図

 

 

技能習得手当について


 まず、求職者給付のうちの1つ「技能習得手当」についてご説明します。
技能習得手当とは、受給資格者が公共職業訓練等を受け、公共職業安定所長の受講指示により公共職業訓練等を受講している場合は、基本手当のほかに技能習得手当(受講手当・通所手当)及び寄宿手当を受給することができます。

〈受講手当〉
受講手当は、受給資格者が公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受ける場合に支給されます。支給の対象となるのは、基本手当の支給の対象となる日のうち公共職業訓練等を受けた日です。
・受講手当の日額は500円です。
・受講手当の上限額は20,000円です。

〈通所手当〉
通所手当は、受給資格者の住所又は居所から公共職業訓練等を行う施設へ通所するために交通機関、自動車等を利用する場合に支給されます。
・通所手当の月額は通所方法によりますが、最高42,500円までです。
・支給対象にならない日がある月については日割により減額して支給されます。

講義中の人々


寄宿手当について

 

 次に、寄宿手当について見ていきましょう。
寄宿手当は、受給資格者が公共職業訓練等を受けるために、家族(その者により生計を維持されている同居の親族)と別居して寄宿する場合に支給されます。

対象となる期間は公共職業訓練等を受けている期間のうち上記家族と別居して寄宿していた期間です。寄宿手当の月額は10,700円です。
受給資格者が家族と別居して寄宿していない日等、支給対象とならない日がある月については日割により減額して支給されます。


傷病手当について

 

 傷病手当とは、受給資格者が離職後、公共職業安定所に来所し、求職の申込みをした後に15日以上引き続いて疾病又は負傷のために職業に就くことができない場合に、その疾病又は負傷のために基本給付の支給を受けることができない日の生活の安定を図るために支給されるものです。
(14日以内の疾病又は負傷の場合には基本手当が支給されます。)
なお、傷病手当の日額は基本手当の日額と同額です。

〈30日以上引き続いて疾病又は負傷のために職業に就くことができないとき〉
受給資格者の申出によって、基本手当の受給期間を最大4年間まで延長できます。

受給期間を延長した後、その延長理由と同様の疾病又は負傷を理由として傷病手当の支給を申請したときの支給日数は、その受給期間の延長がないものとした場合における支給できる日数が限度となります。※疾病又は負傷について他の法令により行われる類似の給付を受ける日については支給されません。

休憩中


高年齢求職者給付について


 次は、高年齢被保険者に対する求職者給付、高年齢求職者給付金について見ていましょう。
高年齢求職者給付金は、高年齢被保険者が失業した場合、一般の被保険者の場合と異なり、被保険者であった期間に応じ基本手当日額の30日分又は50日分に相当する高年齢求職者給付が支給されます。

※65 歳以上の被保険者であって、「短期雇用特例被保険者」および「日雇労働被保険者」に該当しない者をいいます。

 支給額は、被保険者であった期間に応じて次の表に定める日数分の基本手当の額に相当する額とされています。
高年齢求職者給付金


特例一時金について

 

 次は、短期雇用特例被保険者に対する求職者給付、特例一時金について見ていましょう。
特例一時金は、短期雇用特例被保険者が離職し、離職の日以前1年間に被保険者期間6か月以上ある場合に、基本手当の 30 日分(当分の間、40日分)に相当する額が支給されます。
※令和2年8月1日以降に離職した場合は、賃金支払基礎日数が11日以上の月が6か月ない場合は、完全月で賃金の支払の基礎となった時間数が80時間以上の月を1か月として算定します。

※「短期雇用特例被保険者」とは、季節的に雇用される者のうち次のいずれにも該当しない者のことをいいます。
 イ 4 か月以内の期間を定めて雇用される者
 ロ 1 週間の所定労働時間が 30 時間未満である者

 ただし、以下の方については就職する意思・能力がないものと判断され、その状態が続く限り特例一時金の支給を受けることができません。
特例一時金の対象外


日雇労働求職者給付金について

 

 最後に、日雇労働被保険者に対する求職者給付、日雇労働求職者給付金について見ていましょう。
日雇労働被保険者は、ハローワークへ雇用保険被保険者資格取得届や住民票の写し等の書類を申請して日雇手帳の交付をうける必要があります。

そして、日雇手帳の交付を受けた方が日雇派遣で働いて賃金の支払いを受けるときに、会社に手帳を提出し、賃金を受け取る際に雇用保険印紙の貼付を受け、印紙を貼付することで雇用保険の保険料を納付します。

日雇労働求職者給付金は、失業の日の属する月前2か月間に26枚以上の印紙が貼付され、日雇労働被保険者が失業した場合に、ハローワークに出頭して求職申込みをしたうえ、その失業している日について認定を受け、失業の認定が行われた日数分が支給されることとなっています。

〈日額〉
前2か月間に26枚以上の印紙が貼付されているときに、級別貼付状況に応じて、次のとおり決定されます。
第1級:7,500円
第2級:6,200円
第3級:4,100円

〈給付日数〉
前2か月間に貼付された印紙の枚数によって、以下の表のとおり計算されます。
印紙の貼付枚数


 以上、失業時の所得を補填するための求職者給付の内容についてご説明しました。
雇用保険の中でも最も申請する割合の多い給付となりますので、内容についてしっかりと確認しましょう。

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