労働者派遣事業に必要な契約書とは
前回に続いて、労働者派遣法第26条に定められている労働者派遣事業の契約に必要な書類について説明します。
労働者派遣法第26条では、以下の内容について定めています。
(契約の内容等)
第二十六条 労働者派遣契約(当事者の一方が相手方に対し労働者派遣をすることを約する契約をいう。以下同じ。)の当事者は、厚生労働省令で定めるところにより、当該労働者派遣契約の締結に際し、次に掲げる事項を定めるとともに、その内容の差異に応じて派遣労働者の人数を定めなければならない。※以下省略
労働者派遣事業の契約について必要な書類は以下のとおりです。
①労働者派遣契約書
②就業条件明示書
③派遣先通知書
④派遣元管理台帳
⑤派遣労働者を雇い入れようとするときの明示
⑥労働者派遣をしようとするときの明示
⑦待遇に関する情報提供
⑧派遣先事業所単位の抵触日の通知
今回は、「派遣元管理台帳」に記載すべき内容について見ていきましょう。

派遣元管理台帳へ記載すべき項目とは
派遣元事業主は、派遣の就業にあたって派遣元管理台帳を作成し、台帳に派遣労働者ごとに決められた事項を記載することが、派遣法第37条にて義務づけられています。
この目的は、派遣元事業主が派遣先において派遣就業する派遣労働者の雇用主として、適正な雇用管理を行うためのものであり、作成にあたって以下の方法が決められています。
・派遣元事業主の事業所ごとに作成しなければならない。
・派遣労働者の雇用管理が円滑に行われるよう派遣労働者を有期雇用労働者と無期雇用労働者に分けて作成しなければならない。
・労働基準法第107条第1項の労働者名簿や同法第108条の賃金台帳と派遣元管理台帳とをあわせて調製することができる。
なお、派遣元管理台帳に記載すべき項目については以下のとおりとなります。
〈記載すべき項目〉
①派遣労働者の氏名
②協定対象派遣労働者であるか否かの別
③無期雇用派遣労働者か有期雇用派遣労働者かの別、有期雇用派遣労働者の場合は労働契約の期間
④60歳以上であるか否かの別
⑤派遣先の氏名または名称:個人の場合は氏名、法人の場合は名称を記載すること。
⑥派遣先の事業所の名称
⑦派遣先の事業所の所在地その他派遣就業の場所及び組織単位
⑧労働者派遣の期間及び派遣就業をする日
⑨始業および就業の時刻
⑩従事する業務の種類:従事する業務については可能な限り詳細に記載すること
⑪派遣労働者が従事する業務に伴う責任の程度:派遣労働者が従事する業務に伴って付与されている権限の範囲や程度などを記載すること。また、リーダーなどの役職がある場合はその役職を、役職が無い場合は「役職なし」と記載すること。
⑫派遣労働者から申出を受けた苦情の処理に関する事項:苦情の申出を受けた年月日、苦情の内容及び苦情の処理状況について、苦情の申出を受け、及び苦情の処理に当たった都度、記載すること
⑬紹介予定派遣に関する事項:
・ 紹介予定派遣である旨
・ 求人・求職の意思確認等の職業紹介の時期及び内容
・ 採否結果
・ 紹介予定派遣を受けた派遣先が、職業紹介を受けることを希望しなかった場合又は職業紹介を受けた者を雇用しなかった場合に、派遣先から明示された理由
⑭派遣元責任者及び派遣先責任者に関する事項
⑮ 派遣先が、派遣就業をする日以外の日に派遣就業をさせることができ、又は派遣就業の開始の時刻から終了の時刻までの時間を延長することができる旨の定めを労働者派遣契約において行った場合には、当該派遣就業させることができる日又は当該延長することができる時間数:派遣元の36協定届に定める時間数および日数を記載すること。
⑯期間制限のない労働者派遣に関する事項:有期プロジェクト業務、日数限定業務、育児・介護休業等の代替業務等の場合は期間などを記載すること。
⑰雇用・社会保険の被保険者資格取得届の提出無の理由:健康保険被保険者資格取得届等の書類が行政機関に提出されていない場合は、その理由を記載すること。
<社会保険の未加入の理由:例>
1週間の所定労働時間が15時間であるため
⑱段階的かつ体系的な教育訓練を行った日時とその内容に関する事項
⑲キャリアコンサルティングを行った日とその内容に関する事項
⑳雇用安定措置を講ずるに当たって聴取した希望の内容:派遣労働者から聴取した日付、派遣労働者が希望する措置の内容について記載すること。
㉑雇用安定措置の内容:派遣労働者に対して実施した措置の日付、内容とその結果について記載すること。派遣先に対して直接雇用の依頼を行った場合については、派遣先の受入れの可否についても記載すること。
以上が派遣元管理台帳に記載する項目となります。
なお、こちらの内容は労働局の定期監査対象となっておりますので、漏れなく記載してください。

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