労働者派遣事業に必要な契約書とは
前回に続いて、労働者派遣法第26条に定められている労働者派遣事業の契約に必要な書類について説明します。
労働者派遣法第26条では、以下の内容について定めています。
(契約の内容等)
第二十六条 労働者派遣契約(当事者の一方が相手方に対し労働者派遣をすることを約する契約をいう。以下同じ。)の当事者は、厚生労働省令で定めるところにより、当該労働者派遣契約の締結に際し、次に掲げる事項を定めるとともに、その内容の差異に応じて派遣労働者の人数を定めなければならない。※以下省略
労働者派遣事業の契約について必要な書類は以下のとおりです。
①労働者派遣契約書
②就業条件明示書
③派遣先通知書
④派遣元管理台帳
⑤派遣労働者を雇い入れようとするときの明示
⑥労働者派遣をしようとするときの明示
⑦待遇に関する情報提供
⑧派遣先事業所単位の抵触日の通知
最後は、「待遇に関する情報提供」と「派遣先事業所単位の抵触日の通知」の内容について見ていきましょう。
待遇に関する情報提供とは
労働者派遣の役務の提供を受けようとする派遣先は、労働者派遣契約の締結にあたって、あらかじめ、派遣元事業主に対し、派遣労働者が従事する業務ごとに、比較対象労働者の賃金その他の待遇等に関する情報を提供しなければならないこととなっており(法第26条第7項)、派遣元事業主は、情報提供がないときは、労働者派遣契約を締結してはならないこととなっています(法第26条第9項)。
比較対象労働者とは、派遣先に雇用される労働者のうち、業務内容や業務に伴う責任の程度、職務内容、配置の変更の範囲が、派遣労働者と同一であると見込まれる者であり、具体的には、次に掲げる労働者をいいます。
① 職務内容並びに職務内容及び配置の変更の範囲が、派遣労働者と同一であると見込まれる通常の労働者。
② ①に該当する労働者がいない場合にあっては、職務の内容が派遣労働者と同一であると見込まれる通常の労働者。
③ ①及び②に該当する労働者がいない場合にあっては、業務の内容又は責任の程度のいずれかが派遣労働者と同一であると見込まれる通常の労働者。
④ ①~③に該当する労働者がいない場合は、職務の内容及び配置の変更の範囲が派遣労働者と同一であると見込まれる通常の労働者。
⑤ ①~④に該当する労働者がいない場合は、①から④までに相当する短時間・有期雇用労働者。
⑥ ①~⑤に該当する労働者がいない場合は、派遣労働者と同一の職務の内容で業務に従事させるために新たに通常の労働者を雇い入れたと仮定した場合における当該通常の労働者(仮想の通常の労働者)。
なお、仮想の通常の労働者の待遇は、実際に雇い入れた場合の待遇であることを証する一定の根拠に基づき決定されていることが必要となります。
また、派遣元事業主が「労使協定方式」による労働者派遣を行う場合は、比較対象労働者の情報提供をうける必要はなく、就業先の食堂、休憩室、更衣室の有無、教育訓練の実施の有無といった情報提供のみ受ける必要があります。
なお、情報提供の方法については、書面の交付若しくはファクシミリをしてする送信又は電子メール等の送信をすることにより行わなければならないとされています。
以上が待遇に関する情報提供の内容となります。
なお、こちらの内容は労働局の定期監査対象となっておりますので、漏れなく記載してください。
派遣先事業所単位の抵触日の通知とは
派遣先は、労働者派遣契約の締結に当たり、あらかじめ、派遣元事業主に対し、派遣先の事業所単位
の期間制限の抵触日を通知しなければならないとされており、派遣元事業主は、通知がないときは、労働者派遣契約を締結してはならないとされています。
なお、派遣先は、派遣可能期間を延長したときは、速やかに派遣元事業主に対し、延長後の事業所単位の期間制限に抵触する日を通知しなければならないとされています。
また、通知方法については、書面の交付若しくはファクシミリを利用してする送信又は電子メール等の送信をすることにより行うこととなります。
以上が派遣先事業所単位の抵触日の通知の内容となります。
なお、こちらの内容は労働局の定期監査対象となっておりますので、漏れなく記載してください。
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